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旬果瞬菓 共楽堂の夏の人気商品「ひとつぶのピオーネ」
ひとつぶのピオーネを作るうえでの、
農家さんの想いや、共楽堂のこだわりなどをご紹介
知る人ぞ知る、濃密な一粒。
「ひとつぶのマスカット」の影に隠れがちですが、毎年夏から秋にかけて登場する「ひとつぶのピオーネ」には、マスカットとはまた違う、深くて豊かな魅力があります。
共楽堂では、7月の発売時点では岡山県産のピオーネ、8月下旬からは広島・世羅の「サンワファーム」のピオーネへと素材をバトンタッチしています。同じ「ひとつぶのピオーネ」であっても、産地が変わると微妙に味わいも変わる——そんな楽しみ方もこのお菓子の魅力のひとつです。
「ひとつぶのピオーネ」を支える農場長のこだわり
今回は、夏の後半の「ひとつぶのピオーネ」を支えてくださっているサンワファームを訪問。
農場長の大宮淳優さんに、ブドウ栽培へのこだわりや、ピオーネという品種の魅力を語っていただきました。
標高が育てる、輪郭のはっきりした味
サンワファームは2008年に開設され、今回訪れた広島県世羅の空口農場はピオーネとシャインマスカット、BKシードレスを中心に栽培。約2.4haの棚面積で年間44トンの収穫量を誇ります。
農協で長年栽培指導に携わってきた大宮さんが、2017年から農場長として率いています。
「ここの農園のぶどうは、味が濃いんですよ」と大宮さん。その理由は、標高にあります。
「県の南部のように夜の温度が下がりにくいエリアだと、酸味が抜けすぎてブドウの味がぼやけてくることがあるんだけど、ここだと夜が涼しいので、酸味が残りやすく、最後までぼやけない。」
昼間の太陽の恵みをたっぷり受けながら、夜は涼しい寒暖差の中で糖度と酸味をじっくりと蓄えていく。糖度18度くらいにはしたいと話していた大宮さんでしたが、試しに取材時に目の前にあった粒を計測してみると、なんと糖度は22度。
「糖度と酸味が立っていて輪郭がはっきりした味、製菓材料としても使いやすいんじゃないかな」と大宮さんは話します。
ピオーネは、「芳醇」という言葉がよく似合う
「ピオーネの味を一言で表すとしたら?」と聞くと、大宮さんはこう答えてくれました。
「ザ・王道。特にこの香りの濃密さは他には負けないかな。お客さんに案内するなら、ちょっと鼻に抜ける感じとか、ワインっぽいっていう言葉になるのかな」
また「芳醇」という言葉もぴったりだとか。
マスカットが「爽やか・華やか」と表現されることが多いのに対して、ピオーネは「濃い・芳醇」。この違いこそが「ひとつぶのマスカット」とはひと味違う「ひとつぶのピオーネ」ならではの世界観を生み出しています。
実際、関東のブドウの産地の方から「お前のところのピオーネはワインみたいだ」と言われたこともあるそう。その香り高さは、元来ピオーネが持つ特徴でもあり、さらにサンワファームのピオーネの強みでもあるようです。
お菓子に向いているのは「酸味」があるから
「ピオーネはお菓子の素材として優れていると思いますか?」という問いに、大宮さんは即答しました。
「酸味というか、苦味、渋み——ああいったものがすごく大事だと思うんです。甘さだけだと輪郭がはっきりしない。酸味で輪郭を作るっていう感じになるんじゃないかな」
甘みが強すぎる素材は、逆に酸味を加えてやらないとお菓子としてのバランスが取れない。
その点、ピオーネは酸味と甘みを天然のバランスで持ち合わせている。その風味が、求肥の優しい甘さと重なったとき、「ひとつぶのピオーネ」は完成します。
天候と祈り――収穫までの道のり
収穫は8月の終わりごろから9月いっぱいにかけて。「ちょっと遅めですね、世羅の気候的に。単純に量も多いし、とにかく頑張って収穫するしかない」と大宮さん。時期が後ろにずれてしまえば、熟れすぎて酸味が下がって抵抗力が落ち、カビも発生しやすくなる、タイミング勝負とのこと。
「栽培で苦労することは?」と聞くと、「最近はやっぱり天気です。日照りは激しいし、高温が続くのもきつい、集中豪雨もいつ来るかまったく読めない(笑)」。
ダムから引いているので水の管理はまだやりやすい、でも気温の高さはどうにもならない。
「もう祈るだけです」というその口調には、自然相手の厳しさが滲んでいました。
また、「酸味と甘みのバランスはコントロールできるのか?」という問いには「正直、最後は天候まかせ(笑)、夜間の温度はどんなに日中が暑い日でも22度くらいまで下がってくれる。そのくらいだと一番いいバランスになる」と教えてくれましたが、最後は自然からの贈り物という実感に満ちた言葉でした。
共楽堂だけ、収穫したその日に出荷
サンワファームと共楽堂の取引は、大宮さんが着任した2017年ごろから。「9年目にして、やっとホームページに載せていただいてありがとうございます」と笑いながら話してくれました。
「共楽堂だけですよ、収穫した日に出しているのは」と大宮さん。それだけでもありがたいのですが、共楽堂のためにさらにもうひと手間かけてくれているそう。普通は収穫したら房のまま出荷するところを、房から一粒ずつ切り離して納品してくれているのです。
ブドウの粒を切り離す作業と箱詰めをその日のうちに行い、鮮度そのままで共楽堂へ。房のままで輸送すると揺れて実が傷むリスクもある。そこで農場のみなさんが一粒ごとに丁寧に切り分け、大宮さんがサイズを確認して箱に詰めていく——そんな手仕事も「ひとつぶのピオーネ」の鮮度を支えています。
「ちゃんとピオーネの味がする」——生産者の率直な感想
取材の後半、「ひとつぶのピオーネを召し上がったことはありますか?」と伺うと、「ありますよ」と大宮さん。
「最初の感想は?」
「……高げ〜と思いました(笑)。なんか高そうな味だなと思って。原価も知ってるし(笑)」
冗談で笑わせながらもこう続けてくれました。
「でも毎年、敬老の日には使わせてもらってますよ。お菓子になっても、ちゃんとピオーネの味がするから。そこがいいなと思います。求肥もすごく薄く仕上げてあって、いいバランスだな、って」。
生産者自身が贈り物に選んでくれている。そのことはピオーネという自然の素材をそのまま生かしたお菓子作りができている証しとして、私たちにとっては本当に嬉しい言葉でした。
「タイミングによって違う味が楽しめる」
最後に、ひとつぶのピオーネを召し上がるお客様へのメッセージをいただきました。
「素材の味がするお菓子だから、買うタイミングによってブドウの味の違いが分かると思うんです。『あ、香りがすごいな』とか『糖度が上がってきたな』みたいなタイミングがあるはず。それは楽しいんじゃないかな」
「まあ、何回か買ってもらわないとわからないんだけど(笑)。でも、そういう変化も含めてブドウの面白さだと思うんですよ」
大宮さんはこんな言葉も残してくれました。「世羅のピオーネ、岡山のピオーネ、それぞれの味、それぞれの良さがあるから。その違いはけっこうはっきり出てると思うよ」。
7月の岡山産から、
8月下旬以降の広島・世羅産へと繋ぐ———
同じ「ひとつぶのピオーネ」でも、産地が変わればブドウの個性も変わる。産地ごとに凝縮された自然の恵みを食べ比べてみるというのも「ひとつぶのピオーネ」の新しい楽しみ方かもしれません。そして、ぜひ秋口には、世羅の標高が生んだ濃厚で芳醇な味わいをひとつぶの中に感じてみてください。
サンワファームの大宮さんたちが丹精込めて育てた、世羅の地ならではの芳醇なピオーネを、ぜひ今年は手に取ってみてください。
現在販売中の「ひとつぶのピオーネ」は岡山県産です。
※世羅産のピオーネへは「8月下旬以降」に切り替わります。
